①出世しやすい人の傾向
(1)技術力よりも上司受けまたは同僚との人間関係が良好な人
どんなにIT技術に造詣が深く、他のエンジニアよりもすぐれた仕事をしても、上司との関係がうまくいっていない場合は、その優れた仕事の無駄骨に終わる可能性が大きいです。
逆に、技術力は平均でも、上司受けがすこぶる良い人は、どんどん出世していくという現実があります。
(2)会社の方針を疑わない(努力をする)人
出世する人は、ほぼ間違いなく会社の方針(事業計画の立て方、細かな仕事の進め方等)に疑いを持っていません(または表に出しません)。
よく、テレビドラマで、重要な会議に突然、平社員が飛び込んで、斬新な提案をし、その内容が社長に見初められ、一目置かれるなんて流れのストーリーがありますが、ほとんどの会社ではまず、そのような理想的な流れになる可能性はないと考えてもらっていいでしょう。外資系の企業はわかりませんが(私自身、勤務経験がありませんので)、日本の企業、特に長い歴史と伝統を持つ企業の多くは、極端に異なる考えをもった社員は敬遠されがちです(出世できないことが多いです)。
(3)きっぱりと現場への未練がない人(捨てれる人)
中間管理職になると、深いIT技術を必要としない業務が多数を占めます。
開発計画スケジュールの作成、各種会議への参加、取引先との折衝、各種管理資料の作成、各種決済業務、部下のフォロー、部下の勤怠管理等々多岐にわたり、部下の細かい作業まで気を配る余裕がない人が多いです。また、よく言われる上司と部下の板挟みも相まって、体を壊し、休職してしまう人も少なからずいます。
このため管理職を長く続けた人が、急に現場志向に心変わりし、深いIT技術を必要とする仕事に戻りたいと思っても、そこは職人と同じで、その間のブランクを埋めることは容易ではありません。
特に現場でばりばりやりがいを持って開発業務を行っている人が、管理職になるかどうかの選択を迫られた場合、相当な決断を強いられる人がいるのも事実です。
(4)独立、起業
これまで紹介した傾向は会社の組織の中で出世するために必要なことですが、実は人づきあいが苦手またはめんどくさいと思ってしまう人でも出世する方法があります。独立することです。独立といっても方法は様々あるでしょう。起業する、フリーランスになる、株デイトレーダーになる、アフェリエイターに絞る等々。
私のこれまでの複数の異なる会社経験から思うには、非凡なIT技術力を持っている人は、人づきあいが苦手または好きでない人が多かったです。しかし、こういった人たちは実は起業家、経営者向きだったのです。(過去に起業経験があったり、または投資経験が豊富であったり等々)
会社という組織で、縛られた環境で思ったように仕事ができず、窮屈に感じている人も、独立することでその縛りがなくなり、結果、発揮できずにいた能力が開放され、大きな成功を収める人も多いと思います。
②出世を目指さなければならない事情
(1)権限がなければ会社で自分の考えを反映させることは不可能に近い
出世を目指すことは良くないイメージを持たれ、逆に自分は出世しなくてもよいから自分の価値観で仕事をしていきます!現場から会社の考え方を変えていくつもりです!という考えを持つ人も多いです。
しかし、現実は出世しなければ、自分が理想とする組織に近づけるための権限さえもつことができないのです。ただ、何の意味もなく出世だけを生きがいに働くことは全くいいとは思っていません。
家族を守るため、理想とする組織(社員が働きやすい環境)へ変革したいため等、それなりに社会貢献につながるような理由で出世を目指す人が増えてほしいと切に願っています。
出世するまでは自分の気持ちを押し殺して我慢の日々が続くことも多いでしょう。会社で、過去に前例のない自分の考えを実現を目指す人は、出世するまでは会社とは異なる自分の考えは飲み込んだままにしておきましょう。それが難しい場合は、出世は諦めるかまたは独立を考えてみるのも大きな価値があります。
(2)年齢を重ねるにつれ、体力、気力でカバーできる仕事が少なくなる。
出世せず、いわゆる"平社員"の場合、年齢を重ねるにつれ、自分の思い描くペースで仕事ができないことへのいらいらと葛藤が増していくと思われます。若い頃は、多少、無理な仕事量でも、有り余る体力と気力で乗り越え、なおかつ達成感も得ていくでしょう。しかし、その仕事内容は出世しない限り、まず大きく変わることはありません。若者と同じように仕事をすることを求められるため、次第に気力面、体力面で限界が来て、体調面で重大な変調を招いてしまう可能性が高いです。このため、健康面のためにも出世することはそれなりに大きな意味を持ちます。
③まとめ
IT業界も他の業界と変わらず、会社内で出世のためには"社内営業"が必要です。
あわせて会社の組織を自分が理想とする組織に変えたいという野望をもっていれば、出世は必須事項です。
これからIT業界の会社に入ろうと目指している人は入社してから様々な困難(IT技術のスキルアップと同時に"社内営業")が避けられない可能性がある心構えは少しは準備しておいてください。入社してから、入社前に期待していた会社生活とのギャップが少しは小さくなるかと思っています。
最後に繰り返しになりますが、人づきあいが苦手な人または好きでない人の場合はスキルアップを目指す努力ができる人であれば、会社の組織の中で働くよりも可能であれば独立したほうがいいでしょう。
ご自分の性格のタイプにあった出世を目指していってほしいと思っています。