今回は、以前、紹介した採用面接の基本に引き続き、
転職回数が多い等ハンディを背負った場合の面接対策についてパターン別に紹介したいと思います。
というのは、必ず、転職経験等、過去の経歴について、その動機について質問を受けることになり、
その回答の仕方によって採用の合否に大きな影響を与えるためです。
では、どういう回答の仕方をすれば、良いのか。
それは応募先の採用担当者の不安を払拭できる説明ができるかどうか、
すなわち、話に合理性があり、
今回、応募してきた理由がそれまでの経歴の課題を解決するため必要なことである点に注意し、話す必要があります。
一方で、正直に思うがまま回答方法を考えると、合理性を持たせる自信がないという人もいらっしゃるかと思いますが、
その場合、個人的にはそこは居直らず、合理性を持たせるよう努力して回答するしかないと思っています。
これまで何十人、何百人と面接を担当してきている採用担当者は、その回答がありのままの回答なのか、
それとも、見直した結果の回答なのかのある程度は見越しています。
では、どうして、ありのままでなくてもこれまでの経歴に合理性を求めるのか、
それは、下記の点を見ようとしていることが多いと思います。
- 論理的思考能力
- これまでの経歴でなし得なかったことを達成したいという熱意
- 入社したいという熱意
これまでの経歴について合理性をもたせた回答の必要性を多少なりとも理解いただけたでしょうか。
では、経歴パターン別にその対策について紹介したいと思います。
①IT業界一筋で転職回数が多い場合
転職回数が多くでのIT業界一筋の場合は、対策はそれほど、難しくないと思っています。
なぜなら、IT業界一筋の場合、過去の経歴について、スキルアップという観点からストーリー(言い方が適切ではないかもしれませんが)が立てやすいからです。
下記の観点で、退職理由と転職理由を見直せばよいかと思います。
(1)問題解決型
- 退職理由
その会社ではどうしても実現できないことがあり、同時に実現することは譲れない状況であったこと。ここで注意しなければならないことがあります。
この実現できないことに年収等の待遇や人間関係に関する事柄は含めないことです。
あくまで仕事内容上の課題を示しています。(例)
近しい人の健康の問題を目の当たりにし、医療機器開発に関わりたいと思ったが、
現在の会社は金融機関向けの汎用システムの開発がメインで医療機関向けの実績がない - 転職理由
前の会社では実現できなかったことが、次の会社では実現できる可能性が極めて高かった状況があったこと。
(2)キャリアアップ型
- 退職理由
その会社ではどうしても実現できないことがあり、同時に実現することは譲れない状況であったこと。(例)
上流工程を経験したかったが、二次請け案件、三次請け案件が多く、
結果として下流工程の仕事しか経験できなかったこと。 - 転職理由
一次請け案件が多く、上流工程の仕事を経験できる可能性が極めて高った状況であったこと。
②同じIT業界で短期間で退職してしまった期間がある場合
短期間で退職した期間が同じIT業界である場合、
転職回数が多い場合と同じ考え方の対策で可能ですが、
在職期間が数週間から数カ月、1年~2年といった短い場合は、キャリアアップを理由にするよりも
問題解決型の理由が向いていると思います
(実際、キャリアアップを目指した転職であったのあれば別ですが)。
そして注意点は転職理由を検討する際、経験を糧に反省点として認識していることを意識することが大切です。
-
(例)
前の会社では企業規模が大きいことから、希望する仕事がほぼ確実にできると思っていたものの、
実際はそうではなかったことから、次の転職では会社の規模や名前でなく、
その会社の事業内容や実績をしっかり研究したこと。
③IT業界とは異なる業界も含めて転職回数が多い場合
IT業界と異なる業界を経歴に含む場合は、
IT業界から離れた理由、逆にIT業界へ転身した理由について、しっかり合理性のある回答を心掛けましょう。
業界が異なるため、問題解決型やキャリアアップ型の回答ではなく、業界を変えた動機が重要になってくるでしょう。
-
(例)
異業種からIT業界へ転身した場合は、IT業界に関心をもった理由、
例えば、当時一緒に仕事をしたIT関連会社の社員の仕事内容に強い関心を持ち、
どうしてもその業界で成長していきたいと考えた。
④IT業界とは異なる業界を短期間で退職した期間がある場合
これまでどおり合理性のある回答がとても重要です。
ポイントは採点ポイントをマイナスにしないことが目標です。
同じIT業界ならまだしも、異業種で短期間の場合、
例え、キャリアアップ型の動機であったとしても、採点ポイント面でプラスには作用しにくいです。
このため、今回の応募理由とは関連性がほとんどないというのはよくよく理解した上で
当時の状況における動機を客観的に誠実に説明することが重要ということになるでしょう。
お気づきになったかもしれませんが、転職を希望する場合は余程の理由がない限り、
同業界にすべきで、業界を変えるにしても、できれば1回までに抑えたいものです。
業界に一貫性があれば、問題解決型またはキャリアアップ型でストーリーが立てやすいですが、
業種が異なる場合は、容易ではありません。
逆にいえば、万一、次の会社で見通しと異なり、再度、短期間での退職を余儀なくされることになっても、
業界に一貫性があれば、マイナス要因を最小限にとどめることができ、
想像しているよりも困難にならずに、やり直しが効くということです。
私の経験をもとに書かせて頂きましたが、
その時々でお世話になった転職コンサルタントの提案も十二分に精査していますので、
参考にしていただける点は多いと思います。
転職による失敗のリスクに臆病になりすぎず、前向きな観点をもっていただけたらと思います。